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「はい、とうちゃーく!」
「え? 到着ってまさかここが……?」
「うん、私んち!」
「「でっ……でかっ!!」」
放課後。約束通り、佳苗は連と私を家まで案内してくれた。――のだが、その家は家と呼ぶにはあまりに大きく、屋敷と呼んだ方が正確であろう。
「お、お前お嬢だったのかよ!?」
「お嬢って程じゃないよ。家がこの辺の地主なのと特殊な家業だってだけで、ちょっと他より大きいだけだよ」
「いや、ちょっとじゃねぇだろ。どう見ても……」
屋敷の塀は、終わりが見えないほどに遥か彼方まで続いており、出入り口には立派な門を構えている。固く閉ざされた門であったが、私たちが門の前に立つと同時にゆっくりと音をたてて開いた。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
門の向こうには使用人らしき女性が十名、道に沿って並んでいた。呆気にとられる連と私を置いたまま、恭しく頭を下げる先頭の女性に佳苗が声をかける。
「ただいま。友達をつれてきたの。二人を客間にご案内して」
「かしこまりました」
女性が佳苗から荷物を預かると、それを合図にしたように女性たちは後ろに下がり、道を開けてくれた。そのうち二名が連と私のもとへとやってくる。
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