縁の管理人 第3章

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「広間でございます。詳しいことは向かいながら説明致しますね。さぁ、参りましょう。お手荷物はそのままで構いませんので」 「は、はぁ……」  事態は飲み込めないが、連と顔を合わせると、ひとまず佳苗のお母様のあとをついて行くことにした。 「これからお二人には私たちの仕事の立ち会いをしていただきます」  先程の言葉通り広間へ向かう道中、依頼内容についてはどうかご内密に、と念を押された後、お母様がこれからのことを説明し始めた。 「立ち会い、ですか。……要するに、霊媒の見学と?」 「はい。本来は依頼人か修検者のみにしかお見せしないのですが、娘のたっての希望ですから。友人が家業のことで悩んでいるようだから、どうにかして手助けしたいのだと」 「佳苗が、私のために?」  私たちを家に連れて来てくれたのは、私のためだったらしい。連も一緒なのは、恐らく私の悩みを共有した間柄だから。除け者にしたくないしする意味もないから、彼も連れてきたのだろう。
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