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――そして、先程抱いた疑問を、私たちはすぐに理解することになる。
「えーっと。あのー、入りますよー」
(自分の部屋なのに断りを入れるのって、違和感あるな)
部屋の外から声をかけ、中の様子を伺う。何かが動いたような物音がしたけれど、それ以外に返答はない。
「沈黙は了承と捉える、ってことで! しっつれいしまーす!」
「あっ、ちょっと、遥! もう」
どうしたものかと悩んでいると、遥は私の遠慮などお構いなしに襖を開いた。
「……」
「……」
目の前に広がる光景に、私たちは言葉を失くした。
でんと構えた部屋の中央には、こんもりと山を作る羽毛布団がある。もちろん、私の布団だ。中にいるのが誰かなんて、考えなくてもわかる。だが、一体彼は何がしたいのか、私たちにはさっぱりわからなかった。
「……あのー」
「※◆×◎*△!!」
「うん。何言ってるかわからないから、それ脱いでもらっていい?」
「……! ……」
布団越しでは彼の声がはっきりと聞こえない。遥が瞬時に返答するも、彼は沈黙するだけで動かない。
「……結衣」
「……うん」
このままでは、埒が明かない。遥に頷き返すと、私は布団を思い切り捲り上げた。
「どわっ!?」
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