縁の管理人 第3章

53/58
前へ
/186ページ
次へ
 今日佳苗の家業を見学しに来たのは、受ける依頼の選定基準を参考にさせてもらうためだ。細かいとは思うが、基本的なところから勉強していきたい。対するお母様は質問の意図を理解しているらしく、立ち止まってこちらを振り返ると、柔らかく微笑んだ。 「大抵の場合、理由の大部分はそのとおりです。常人の力では叶えられない願いであっても、私たちは叶えることが出来る。常人ならざる力を持って生まれた宿命であり、義務であると当家では考えております。  また、当家では窓口担当が依頼をお伺いした後、詳細を術者に伝達します。依頼人から術者の指定がない場合は、立候補した術者にその案件が委ねられ、そうでない場合は家元に割り振られた術者が担うことになります。その上で術者本人または調査担当が依頼内容を確認し、最終的に引き受けるか否かを決定します。そしてその判断基準は――」  一つ、名前、生年月日等、自身と霊媒したい相手の情報や、霊媒を望む目的について、嘘偽りなく明確に説明していること  一つ、呼び出したい相手の許可を得られていること  一つ、霊媒中には必ず指示に従うこと。特に、術者の体には絶対に触れてはならない
/186ページ

最初のコメントを投稿しよう!

59人が本棚に入れています
本棚に追加