縁の管理人 第3章

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「他にも細々した条件はありますが、この三つが基本です」 「情報を話せというのは、術を施すのに必要だから、ですよね? それに嘘偽りなく、というのは『自分達を守るため』、なのでしょうか?」  昼休みに佳苗は言っていた。自分達の力は特殊であるが故に、悪用される危険性もはらんでいるのだと。そうなれば、人を幸せにするためにあるはずの力で、誰かを傷つけてしまうことだってありえる。それを避けるためには、まず自分達を守ることが大切なのだ、と。 「そのとおり、どちらも正解です。情報だけあれば術自体は発動できてしまいます。ですが、発動した後に聞いていたのとは別の目的が発覚すると、どんなトラブルになるかわかりませんから」 「嘘偽りなく話せとは言っても、嘘ついてるってどうやって判断するんです? まさか話聞いただけで嘘か本当かわかる、とかじゃないですよね?」  連の言うことはもっともだ。相手の言葉に嘘偽りがないかなど、話すだけで判断できるはずがない。相当に話術に長けているか、嘘を見抜く力出もない限り、不可能だろう。実際、そんな力はないらしく、お母様はフフフと楽しそうに笑った。
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