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「そうだ。この子、私のことがわかるみたいなんだよ」
頭に浮かんだ可能性を肯定するように、清が返事をしてくれる。少年を不審がらせないように声には出さず、目だけで清に合図すると、清はそのまま続けた。
「見えてはいないけど、察知してるっていうのかなー。具現化するだけの力がないだけで、私以外にも精霊はいるし。はっきり認識してるわけじゃなくて、精霊たちの噂話が耳に入った、ってところだろうけど」
「やっぱり何かいる!」
清が試しに少年の目の前を飛んで通り過ぎてみると、少年は逃げるように体を後ろへ逸らす。ほらね、と両手を上げる清の顔はなぜか得意げだ。
(それならつまり、この子が錯乱したのは、精霊の気配に気が付いたからってことか。……ん?)
少年の気が動転している理由に検討がついたと同時に、あることに気が付く。
「ってことは、アンタのせいじゃない」
「てへっ?」
「てへっ? じゃないよ。まったく……」
「お前、誰と話してんだ……?」
「あ」
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