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HARUKAとは、モデルとしての遥の名前だ。どうやら少年はHARUKAを知っていたらしい。モデルと言っても、全国区の雑誌なんてものには載っていないし、せいぜい地方誌レベルだ。それでも知っていると言うことは、少年がコアのファンか、HARUKAの知名度があがってきたということか。
「し、知ってるも何も、俺のクラスの男子がいつも騒いでたし! HARUKAは色気がヤバイって!」
「色気? あら、んふふ、ありがとう。でも、クラスの子がってことは、応援してくれてるのはあなたのお友達だけで、あなた自身は私に興味ないってことかなぁ? だとしたら……、残念だなぁ」
自分のことを知っているということに調子づいたのか、遥は自分の魅力に揺らぎつつある少年に追い打ちをかける。 悲しそうに顔を伏せながら、目だけは少年の方を向けると、その視線に何を感じ取ったのか、少年は慌ててピンッと姿勢を正す。
「そそそんなことは! 興味なら全然あります! めちゃくちゃ美人で綺麗です!」
「ふふ、そっか~、ありがとう! HARUKA、嬉しいなー!」
(ああ……こうして一人、哀れな子羊がHARUKAの毒牙にかかってしまった……)
心の中でこっそりと哀れみを向けながら、話を本題へ移そうと咳ばらいをした。
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