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「ところで君、名前は? 家はどこ? あんな場所で何をしていたの?」
「待って、結衣。そんなに矢継ぎ早に質問したら困っちゃうでしょ」
「あ、そっか。えっと、私は紬喜結衣。とりあえず、君の名前を教えて」
「……」
返答はない。
(あれ? もしかして無視?)
少年の方を向くと、少年は再び不審なものを見る目で私を見ていた。余程警戒されているらしい。
「ね。あなたのお名前、教えてくれる?」
「は、はい! 植坂連(うえさかれん)、今年清ノ原高校の二年になります!」
見かねた遥が尋ねると、少年改め連はハッとした顔をして瞬時に答えた。どうやら私には未だ警戒心があるようだが、遥に対してはないらしい。職業までは訊いていなかったが、私と同い年のようだ。
「そっか。 清ノ原高校ってことは、結衣の同級生だね~。結衣はこの春から 清ノ原高校に転入するの。これから結衣のこと、よろしくね」
「……え、そうなんですか? ……まあ、……はい」
(こら、そこ!)
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