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「おわっ!?」
連は驚いたように前髪を手で押さえた。その様につい笑みが零れる。
「今、何かいたな!? ……魔法か?」
「魔法って、違うよ。今のは、精霊の清が君の目の前を通ったの。ほら、今も君の目の前にいる」
「やぁ、少年。私がわかるかな?」
清は手をあげて挨拶しながら、連の顔を覗き込むようにじっと見つめている。が、対する連は清の姿は見えないらしく、目を凝らしながら不思議そうに首をひねっている。
「でも、普通の人には彼らの姿や声はおろか、気配だって察知できないはず。……ねぇ、君は神道を志しているの? もしくは、家族に神職がいるとか」
「いや。俺、そういう宗教的なのはサッパリ。親も無宗教だしな」
「そっか。……そこが不思議なんだよね。彼らを認識できるのは、神道に関わる者だけのはず。気配だけとはいえ、どうして君は認識できているんだろう……」
本人や直近の家族が神道を信仰しているわけではないのだとすれば、遠い祖先にでもいるのだろうか。理由を考えてみるが、心当たりが見つからない。
「なぁ、聞いてもいいか?」
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