縁の管理人 第1章

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「……遥(はるか)」 「なに?」  ゆっくりと重い瞼を持ち上げ振り返れば、来訪者の長い金色の髪が目に入る。きっちりと化粧で綺麗に彩られた顔を見ると、自堕落な自分との落差に再び溜め息が漏れた。 「……はぁ。着替えるから、早く出て」 「はいはい。朝ご飯、出来てるからね」  出来うる限りの抵抗を続けてみたけれど、 結局こちらが折れるしかないらしい。毛布のない寝具では、外気に体の熱を奪われるなど一瞬のこと。寒さに加えて、こうも対話を繰り返せば、否応なしに頭も動き出してしまうというものだ。渋々体を起こすと、ようやく納得したように訪問者は部屋を出ていった。 (……懐かしい夢を見たな)  パジャマを脱ぎながら、先程見たばかりの夢を思い出す。夢なんて普段ならば目を覚ませばすぐに忘れてしまうものだけれど、今日の夢は過去の出来事が大半であったからか、起床して暫く経った今でも鮮明に思い出せた。 (おばあちゃんと……私、か)  あれは一体いくつの頃だっただろうか。幼い姿の私は、大好きな祖母の近くをいつもついて回っていた。実際祖母は孫の自分を可愛がってくれていたし、自分も神子として仕える祖母のことを尊敬していた。     
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