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いつも通り遥からの小言を受けながら、箸を手に取る。冷めるとは言われたものの、まだご飯もお味噌汁もほわほわと湯気が立っていて、私が到着するタイミングを見計らって、よそってくれたのだろうと想像がついた。
「そうだ。今日はこの後雑誌の撮影があるから、一人で修行しておいてね」
「ん、わかった」
教育係として私とともに生活している彼は、どう見ても女性にしか見えないが、れっきとした男性だ。遥曰く女装は趣味らしいが、毎日長く伸ばした髪を整え化粧をして、言動さえも一貫して女性らしく振舞う様子は、すっかり様になっている。高身長ですらりとした体形に加えて、元々端整な顔立ちをしていることもあり、その抜群のプロポーションを活かしてモデルの仕事もこなしている。――もちろん、女装姿で、だ。
「天気がいいから、走り込みも出来そうね」
「えー、走り込みー?」
「体力づくりも立派な修行の一つよ。術の練習だけが修行じゃないんだから。ようやく道が凍結することもなくなってきたんだし、これまで休んでた分をしっかり取り戻しなさい」
苦手な練習プランを提案されて思わず不満を漏らしたが、対して遥は気にする様子もない。
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