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私はしばらく動けない。部屋は暗く、何も見えない。耳をそばだてる。羊の「数えて!」は聞こえない。私は胸をなでおろす。
代わりに別の音が聞こえだす。規則正しく、かすかで、冷たく、耳にさわる音だ。
明かりのない部屋の真っ暗闇で、音はなによりもはっきりと聞こえている。
眼が冴えていく。
やがて、私はそれを数えだす。誰に命じられるでもなく、ひとつずつ、ひとりの部屋で。
終わりなくつづく秒針を。なによりも数えてはいけないものを、時間を。
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