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ようこそ、チャタ・ファーナさん!
滑空式航空母艦の針路は、順調にメルグヴィッツを目指して進んでいる。何しろ、リズアーモから6000キロメートル向こうにある街で、そこで、キャラバンのためのキャラバンとして、商売を続けるのだ。そのためには、大口の仕入れをしなければならない。なにせ、商材がないと、キャラバンとしては保たないからだ。また、国土がすごく大きいため、6000キロメートル向こうと言っても、東京から名古屋、ぐらいにしか感じていないらしい。
その頃、リップスの船内では、長老、セペル・チェルダードが、チャタ・ファーナに、ビザリナ風の普段着に着替えるように命じ、クルクの妹たちが別室で手伝っている。どうやら、お着替えが終わったようだ。
「うむ、これでビザリナ市民じゃ」
「そのへんの子と区別つかないなあ」
「ああ」
「あ、あの……こんな感じでいかがでしょう」
カチューシャに手をやり、恥ずかしそうにしている。
「ファーナさんや、これで、リップスへの仲間入りだ」
「はい、ありがとうございます!」
「随分、うちららしくなったんじゃない?」
「最初、お貴族でしたからね」
早速、メルグヴィッツに着陸する態勢を取り、ナバス・クルクが器用に操縦桿を操って、メルグヴィッツ国際空港に着陸姿勢を取り、無事着陸した。
「あんた、剣術は苦手なのに、こういう運転は得意ね」
「そうだよリーム。剣の技は、上には上がいるんだから」
「ふえー、着きましてよ、神様」
「随分眠たそうだな、レマーユ」
「だって、徹夜で、ひとりで礼拝堂を日曜大工したんですから!」
「そ、それもそうか……って言うか、オレも手伝ったんだけどね。主に木材加工でね」
「忘れていました、お兄さま!」
「……忘れんなよ……さて、ボーディングブリッジに着けて……あ、誘導のお兄さんが旗振ってる……」
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