第1話 キャラバン「リップス」スタート!

7/7
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/64ページ
ようこそ、チャタ・ファーナさん!  滑空式航空母艦の針路は、順調にメルグヴィッツを目指して進んでいる。何しろ、リズアーモから6000キロメートル向こうにある街で、そこで、キャラバンのためのキャラバンとして、商売を続けるのだ。そのためには、大口の仕入れをしなければならない。なにせ、商材がないと、キャラバンとしては保たないからだ。また、国土がすごく大きいため、6000キロメートル向こうと言っても、東京から名古屋、ぐらいにしか感じていないらしい。  その頃、リップスの船内では、長老、セペル・チェルダードが、チャタ・ファーナに、ビザリナ風の普段着に着替えるように命じ、クルクの妹たちが別室で手伝っている。どうやら、お着替えが終わったようだ。 「うむ、これでビザリナ市民じゃ」 「そのへんの子と区別つかないなあ」 「ああ」 「あ、あの……こんな感じでいかがでしょう」  カチューシャに手をやり、恥ずかしそうにしている。 「ファーナさんや、これで、リップスへの仲間入りだ」 「はい、ありがとうございます!」 「随分、うちららしくなったんじゃない?」 「最初、お貴族でしたからね」  早速、メルグヴィッツに着陸する態勢を取り、ナバス・クルクが器用に操縦桿を操って、メルグヴィッツ国際空港に着陸姿勢を取り、無事着陸した。 「あんた、剣術は苦手なのに、こういう運転は得意ね」 「そうだよリーム。剣の技は、上には上がいるんだから」 「ふえー、着きましてよ、神様」 「随分眠たそうだな、レマーユ」 「だって、徹夜で、ひとりで礼拝堂を日曜大工したんですから!」 「そ、それもそうか……って言うか、オレも手伝ったんだけどね。主に木材加工でね」 「忘れていました、お兄さま!」 「……忘れんなよ……さて、ボーディングブリッジに着けて……あ、誘導のお兄さんが旗振ってる……」
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!