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カイザルはぶっきらぼうに答えた。
「決まりだな」
クルクは仕事が減って無邪気に喜んだ。
「これで働きやすくなるぞー」
チェルダードが最後に命じる。
「そいじゃ、よろしく頼む」
やる気のない、グリシアとニーナ。
二人「はーあ」
なぐさめるチェルダード。
「まあ、そう落ち込むな、ビザリーニューズに従前の給与が出るよう、人材派遣契約を結んでおいたから、安心して働き給え」
不服そうなニーナ。
「はいはい、わかりましたよっと……お膳立てがすっかり整っていたという訳ね……恐るべきリップス!」
昔取った杵柄を思い出して、グリシアが興奮する。
「俺は、空軍時代を思い出して、まんざらでもないがな、バトルシップの船長!」
ニーナは頬杖つきながら溜息をついた。
「はーあ、あなたは呑気でいいわねえ……」
◇ ◇ ◇
そして、グリシアとニーナには、それぞれの居室が与えられた。
グリシアが、チェルダードに懇願する。
「あのー、船が有事の際には、僕、ここから船の先端まで行かなくてはならないんですよね」
チェルダードが答える。
「そうじゃ。軽く100メートルはあるからな」
グリシアが、再び懇願する。
「お願いがあるんですけども、居室からコックピットまでの往復に自転車をください」
チェルダードが返す。
「面白いことを言う若者じゃ。脚力に自信がないのか? さては……」
グリシアが困ったような顔で答える。
「は、はい……。インドア職業ばかりでしたので……取材を除けば……」
チェルダードが応じる。
「んじゃ、ギャレーに赤い小さな自転車があるじゃろ。それを使え」
グリシアが安堵する。
「ありがとうございます」
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