第3話 ミイラ取りがミイラになる、ナーディル君!

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 すると船長は、コックピット近くの通信端末に腰掛けているラルタ・ニーナに「ちょっとメルグヴィッツ土産を買ってくる」と言って、国際空港内部の売店へ向かった。どうやら未成年向けには炭酸飲料とチョコレートを。大人向けには地ビールにロゼワイン、チョリソーとナッツに加えて上質なスモークチキンを買うらしい。  そんな、のどかなムードをかき消すように、ラルタ・ニーナが見ているレーダーに、こちらに向けて一直線に空から降ってくる一台のライト・ムーヴァーを発見した。どんどん高度が落ちて行く。このままでは船に衝突する。ニーナが全員に呼集をかける。 「東の方角から、ムーヴァー一機、本船へ向かって突進してきます! 誰か! ムーヴァーで威嚇して!」  格納庫にいたリームが、即応する。 『ニーナさん、あたいだ! ちょっと出撃して来る!』 「頼んだわよ、リームちゃん!」  ふー、っと溜息をつくと、今度は配線完了したとおぼしき、カイザルに告げた。 「イプス・カイザルくん? 手動でバリア装置を起動できないかしら?」 『了解』 「長老! クルク! ファーナちゃん! すぐに持ち場へ戻って!」 『やれやれ物騒よのお、どっこいしょ』 『取りあえずシチュー鍋の火を止めて……ファーナはコックピットへ! 僕はムーヴァーで出る』 「クルク! リームちゃんの応援に回って! カイザルくんも、ムーヴァーに乗って! スクランブル出動!」 『わかった』『了解』 「船長! スクランブル出動しました……って、何呑気に買い物袋を提げて……」 『いや、これにはいろいろと事情が……すぐ戻る!』 「敵機一台、ファビオ製のライトムーヴァー、戦闘用よ! 識別コード……えーっと、あ、出た! チャタ・ナーディル! 外交官IDよ! ファーナの親戚かしら……」 「いいえ、わたしの弟です!」 「ファーナ、コックピットに来てくれたのね!」 「たぶん、わたしを奪還しに来たのだと思います!」 「レマーユちゃんは、祈りを続けて! 心配いらないわ!」 『でも、でも……』 「続けて! 礼拝堂から動いちゃダメ!」 『は、はい……分かりました……』
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