第3話 ミイラ取りがミイラになる、ナーディル君!

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 その、空から降りて来た、銀色のライト・ムーヴァーは、勇ましく航空母艦に剣を振り下ろそうとしたが、上空でカイザルとリームのムーヴァー二機に腕をつかまれ、行く手を阻まれた。遅れて、クルクが発進し、奇襲ムーヴァーの胴体の真ん中に剣を突き立てた……。やがて、ギンギラギンのムーヴァーは、最後の抵抗をしようとするが、動力炉を破損したと思われ、オイルや冷却液をさんざん垂れ流した上で、もはやもう動けなかった。  勝負は約5分間で、あっけなくリップスの勝ち、だった。 『ニーナさん、仕留めたぜ、あたいらが!』 『結構な力だった』 『とどめを刺したのは僕だけどね』 「よくできました! お姉さん感激!」  何もかもが終わった後で、コックピットに船長と長老が現れた……。 「どうしたお前……」 「もうっ! 船長も長老もしっかりしてよ! 結局、不慣れなまま、スクランブル出動をかけたのは私なんですからねっ! 今度から気をつけてっ!」 「はい」「どうも済まんかった」  武闘派のカイザルとリームが「捕虜」を連れてやって来た。「捕虜」はカイザルやリームに威嚇されたと見えて、気を失って、カイザルの肩でだらりと伸びていた。二人に、クルクが告げた。 「カイザル、リーム、この少年を待合室へ頼む! 外側から鍵をかけて!」 「わかってるって!」 「きちんと閉じ込める!」 ……チャタ・ナーディルが目を覚ましたのは、深夜。礼拝も終わり、メルグヴィッツ市民の方々もお帰りになって、一同が夕食を食堂で済ませた後だった。 「ん……んあ? おい! ここはどこだ! ちくしょ、出口……開かねえ……」 ダン! ダン! ダン! ……ナーディルはガラス窓を叩くが一向に開かない。試しに、鍵を銃撃してみた。キィン! と弾かれて自分が危険だった。やがて、前回と同様、ナバス・レマーユが、モニター越しにご挨拶をした。 「お目覚めですか」 「誰だ! てめえは! ビザリナ国教会? 修道女?」 「はあ、まあ、そんなところです。そこで銃を撃つと危ないですよー。跳ね返って来ますから」 「そんなのとっくに体験済みだ! ここはどこなんだ!」 「まあ、そんなことより、あなた、お腹が空いていませんか?」 「……ぐう……ああ、確かに腹ぺこだよ! ファビルシティやリズアーモからここまで何も食ってねえ……」
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