第3話 ミイラ取りがミイラになる、ナーディル君!

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「それにしても、あいつの船に護衛を頼まれたくないなあ……何だか巻き込まれそうで」 「言えてる、どの船よりも狙われやすいだろうからなー」      ◇ ◇ ◇  グリシアが、艦内放送を流す。 『あー、あー。おはようございます。リップス乗務員の方は、午前8時までに作戦会議室へお集まりください、繰り返します……』  マイクを置く。すると、コックピットに、ニーナが現れた。もうスーツ姿も決まっている。化粧も済ませたらしい。 「おはよう、船長。今日はどこへ行くの?」 「とりあえず、霧が晴れている南の方角……と言えば、古巣のセント・フェリーナ市だな」 「ジェンツとかへは行けないの?」 「ああ、まだこの船は武装が完全じゃない。もし今この船で国境地帯に行けば、きっと蜂の巣にされる。なので、無難で、比較的安全なビザリナ第2の都市、セント・フェリーナ市に決めた」 「それで、出発時刻は?」 「離陸が午前9時ジャスト。そうでないと、駐機料金を追加しないといけない」 「なるほどね。あ、女の子たちは、まだパウダールーム。男の子たちは、何やってんだか」 「あの捕虜の少年も気になるしな……」 「ファーナちゃんの弟さんね。何だか頑固そうだわ」      ◇ ◇ ◇  午前8時、作戦会議室……と言っても、スペースの関係上、食堂も兼ねている。みんなもりもり食っている最中だ。話なんか聞いちゃいない。 「えー、次の行き先は、南に5000キロ離れた、聖都、セント・フェリーナ市の空港に着艦する」 「みんなー、分かったー?」 「このウインナーうまい!」「レタスなんて久しぶりだよ」「生野菜っていいねー」「あ、おとうと!」「そうだそうだ、昨日捕まえたあいつに食わしてやんねーと」「リーム、行って来い」「やだっす」「じゃあ、ファーナが行け」「あたしー?」「じゃあ、二人で行くんじゃ」「ええー、めんどいー」  グリシアが、騒音にもめげずに頑張って説明している。 「……あー、それでだなあ、北西方向は濃霧が出ているので、民間の旅客機も出発を見合わせている段階で、ここの滑走路を借りられるのも、今日の午前9時ジャストまでだ。1分でも遅れたら、何千万ミントといった駐機料金が吹き飛ぶことになる、なので、各員においては、遅滞なく行動するように!」 「イエッサー!」 「……本当に分かってる? 俺の話聞いてた?」
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