第3話 ミイラ取りがミイラになる、ナーディル君!

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「聞いてたとも」「うんうん」「聞こえる聞こえる」 「はー。それから、次のセント・フェリーナ市で利益が上がったら、自動追尾型のビーム砲、主砲付近に3機、左右の水平尾翼にそれぞれ6機、後部フラップ付近に1機の合計10機を設置する計画だ。もちろん、お小遣いもはずんじゃおう、って算段さ。勿論、能力給だがな」 「それいいー!」「じゃあ、わたしとファーナは、個室の弟さんに食わして来る」「レーザーソード持った?」「持った持った」「じゃねー」「あたしも行きます!」「レマーユは、ここでおとなしく話を聞いとけ」「そうそう、お願いね」「気をつけてー」  お世辞にもミーティングとは呼べない状態だったが、みんなは、頑張ればお小遣いが出ることだけを期待して、モチベーションを維持していたのだった。 「はー、本当に分かってくれたのかなあ……」 「ねえ、グリシアさん!」 「なんだい、レマーユちゃん?」 「あのー、わたし、セントフェリーナの修道院から特赦を受けたものですから……もし修道院関係者にバレたら、どうしていいかわかんなくって……」 「そうだな、長老さんが言ってたな、本来なら、生涯そこで過ごさなきゃならないところを、特赦されて、ということだね。わかる。配慮するよ。逆に、故郷に錦を飾っちゃえ! いまや、司祭さまなんだろう?」 「名目上は、一応……」 「おっと、時間だ。俺たちはコックピットへ戻る。心配すんな」 「でも、でも、船長さん!」 「じゃあ、後片付けは頼んだぞ! さて、あと20分で出発ですか」  グリシアとニーナは、とっとと行ってしまった。そこへ、チェルダードとカイザルが現れた。 「話は聞いた。お前は、立派に一人で頑張って来た。孤独にも耐えた。奪還しようとする勢力があるなら、一戦交えようではないか。それに、あそこの神父さんは、そんなことはしない。怖がるのも無理はないが、我々が守る。さあ、わしらと一緒に皿を洗おうではないか」 「心配ない?」 「ああ」 「じゃ、後片付けじゃー」  狭い流し台に、身の丈190センチはあろうかという巨男と、幾分バーコードがかった髪型のヒゲの老人と、修道服を着た少女が並んでお皿を洗っている姿を想像してもらいたい。非常に滑稽というか、微笑ましい。 『離陸10分前……』
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