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『おお、来られた! リップスの皆さんが来られるぞ! 喜べ! 助かるぞー!』
「騒々しいなあ……あのー、危ないですから、本艦のバーナーからは、出来るだけ離れてくださいね! 着艦します!」
滑空式航空母艦、ピッツリー7570は、高度を下げ、轟音を上げて河川敷に着艦した。
「クルク、カイザル、リーム! 念のため武装して。もし異状があったら知らせて頂戴。じゃあ、行って!」
「分かった」「了解!」
そこは、一面に芝生が敷かれた総合病院で、コンクリートの壁面にはツタが生い茂っていた。そこへ、年の頃まだ20歳代とおぼしき白衣の医師と、助産婦、それに身重の奥さんと、付き添う旦那さんの姿があった。
「リーダーの、ナバス・クルクです」
「ミエモ・サンタッチャ、この病院の医師です。先ずは、お約束のキャッシュを……」
「はい、確かに受領しました。艦内には医務室がありますので、そちらをご使用下さい」
「はい、分かりました。誘導をお願いします」
「うあ、この奥さん、重い……カイザル、奥さん抱えられる?」
「任せておけ」「おおー! ひょいと抱え上げたわねー! お姫様だっこ?」
「どうもお世話になります、イガル・イントンと言います。先ほどの者が、妻のラファーニ・イントンと申します、どうかよろしくお願いします」
「いえいえ、お礼は、セント・フェリーナ市に入ってからでいいですよ、医務室近くの居室に誘導します」
「助かります」
各員は、左舷のハッチから、居室階目指して足早に進む。
『カイザル、クルク、リーム! 聞こえる? ニーナよ。扉を閉めたら、その人たちの警護をお願いします。よろしくね』
「あん? わかったってば姐さん……警護します」
「警護してりゃーいいんだね」
「分かった」
『頼むわよ』
滑空式航空母艦、ピッツリー7570が、垂直上昇を始めた。高度が次第に上がって行く。上空500メートル付近で水平噴射に変わった。高度をどんどん上げていき、上空1.8キロメートル(60,000フィート)のところで船長が叫んだ。
『みんな、何かにつかまれ、みんな! 緊急搬送スピードだ! 音速を超えるかも知れないぞ! マッハ2.7ぐらいかな……ともかく、行けえええー!』
クルクは電卓を叩きながら考えた。
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