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「マッハ2.7で5000キロメートルを行くと言うことは……2.7かける1224km/hで3305km/hと言うことは……。5000kmを、およそ1時間半で行く! なんて無謀な!」
イントンさんのご主人が喜ぶ。
「これは助かった! 1時間半ですぞ先生!」
サンタッチャ先生は困惑する。
「しかし、速いのはいいが、母胎に影響はありはしないかと」
イントンさん。
「戦闘機以上のスピードですからね」
医務室でのカイザル、クルク、リームは焦った。
「ちょ、ちょっと待った!」
「音速を出すのはまだやめてくれ! まだ患者さんをベッドに寝かしつけてない!」
『ううー、もう、じれったい奴らだなあ……早く寝るなり、座ってくれ!』
「船長、もういいぞー」「医務室、スタンバイ完了」「わ、私たちの方もオーケーです」
『分かった! 全段直結、マキシマムパワーだ、行けえええー!』
「おたくの船長さん、凄く勢いがありますな」医師が問いかける。
「ああ、まあ……勢いだけはね」リームが苦笑する。
こうして、全火力を噴出した滑空式航空母艦は、一路、セント・フェリーナ市に向けて、まるでロケットか何かのように突き進むのだった。
◇ ◇ ◇
衝撃波で、文化遺産を壊さないようにとの警察当局からの指摘もあり、渋々船長は、教会のない方の隣接する政治都市、フェリーナ市の空港に着艦した。早速、地元救急隊が、ドカドカと医務室に入って来た。妊産婦を抱え、旦那さんと医師を乗せると、救急車がサイレンを鳴らして去って行った。
「一件落着。さてと、ゆっくりとセント・フェリーナ空港へ向かおうとするか! 発進する!」グリシアが叫ぶ。
「さぞかし、ソニックブーム(地上に与える衝撃波)が酷かったでしょうね」ニーナがつぶやく。
「わしゃ死ぬかとおもったわい……」長老が嘆く。
「今度こそは衝撃波出さないでよねー」ニーナがあきれ顔。
「ただいまー。あれ、船長、今度はどこ行くの?」クルクが問う。
「えー、皆様を、古都、セント・フェリーナ市へお送りいたしまーす」グリシア船長。
「バスガイドか何かかよ!」リームがあきれている。
「疲れた、加速度が身に応えた」カイザルがうめく。
「あー、腰に、腰に来たあー」ファーナが言う。
「お前はお婆さんか!」リームのツッコミは鋭い。
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