第3話 ミイラ取りがミイラになる、ナーディル君!

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「しずしずしず……あれ、もう音速ごっこは終わったのですか?」レマーユが言う。 「ああ、無事に病院に届けたよ」得意げにグリシアが言う。 「ふうん……そうですか。でも皆さん、誰かひとり忘れていませんかー?」レマーユが廊下の向こうを指さす。  一同「あっ! チャタ・ナーディル!」  ここへ来て、ようやく船室に閉じ込めているチャタ・ファーナの弟、チャタ・ナーディルの存在に気が付いた。みんなが居室へ駆け寄る。すると……。 「きゅう~」 「ナーディル!」  ナーディルは、シートベルトをしていなかった模様で、ピンポン球のように、部屋中あちこちぶつけたらしく、鼻血の跡が居室じゅうに広がっていた。ナーディル自身は、居室の壁に背中をめりこませて、かなり目を回しているようだった……。 「すまん、ファーナさんのおとうと!」 「なんでえ、だらしのねえ奴だなあ……」 「女子のみんな、彼を着替えさせて、違う部屋へ入れてくれ……居室の掃除は、我々男性陣でやるから……」 「シートベルト、締めてなかったんですね……」 一同「ふー、やれやれ……」
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