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「首都ジェンツが、そんなことに……」
ミラルディ準正規軍総指揮官(准士官)が答える。
「対岸からロケット砲が飛んでくる有様でして、物資も尽きる頃だと……まあ、定期的に海軍がジェンツの港から物資を運んで、陸軍がシェルターに物資を運んでいるという有様で……」
セペル・チェルダードは、ジョマ・グリシアに耳打ちした。グリシアは納得した様子で相づちを打った。チェルダードが切り出した。
「よかろう。是非この7570を完全武装化し、物資の空輸は私共にやらせていただきたい。お願いできるかのお……」
ラナリット大尉と、ミラルディ准士官が耳打ちをする。そして、こう言った。
「よろしいでしょうか、命の保証はありませんよ」
チェルダードが応える。
「我々は民兵といえども、訓練を重ねた精鋭部隊じゃ。むしろ、そういうところへ出かけて行って、一戦交えつつも、住民に物資を配りたい。ぜひ、払い下げ母艦を完全武装化して欲しい。危険を察知した段階で、急速に内陸部に待避する。これをお願いできんかのお……カネならはずむ。責任は自己責任で。これがこちらの条件じゃ」
チェルダードが、懐から6000万ミントの小切手を差し出すと、ラナリット大尉と、ミラルディ准士官は度肝を抜かれた。ラナリット大佐が驚いて訊いた。
「こんな大金、どこで?」
「日々のキャラバンの結果じゃよ。キャラバンのためのキャラバン。我々は軍事訓練を積むと同時に、隊商を行っていて、どの空港に着いても感謝感激されとるよ」
ラナリット大佐と、ミラルディ准士官が顔を見合わせ、耳打ちを相互にし始めた。いわゆるひそひそ話の類だ。それが3~4分程続くと、双方が頷き、ラナリット大尉が切り出した。
「いいでしょう。根負けしました。ここの駐機場で新型のバリア装置を2台、それから主砲1門に、レーザービーム砲10機、大至急工事に当たらせます。ただし行動に当たっては……」
「行動に当たっては?」
「あくまで無理をせずに、ジェンツの東側からジェンツ州の州境ウザビク基地に着艦し、ウルロア川には近づかないこと。それともう1つ。武器弾薬を積んで補給の応援をして欲しいということです」
「うん、うん、それでこそ我が元部下、話が早いのお……」
「ありがとうございます、船長としても、身の安全が図れて安心致しました」
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