第3話 ミイラ取りがミイラになる、ナーディル君!

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第3話 ミイラ取りがミイラになる、ナーディル君!

ファーナの弟、チャタ・ナーディル見参!  今回の収穫は、何と言ってもバリアー装置の購入ができたこと。ファビオ国製品なので、品質に問題はないだろう。中古だけど。これで、ちまちまと敵に銃撃を浴びせずに、ほぼ自動で攻撃を跳ね返すことが出来るだろう。まあ、百%とはいかないだろうが……。  また、リズアーモで採れた魚介類が意外に好評で、また買いたい、とのリクエストがあるほどだった。海から6000キロも離れているのだ。海の魚はありがたいらしい。塩も同じくリクエストが多く、海の塩は貴重らしかった。  居室の一室に設えられた即席礼拝堂では、ビザリナ国教会、セントフェリーナ教区、派遣司祭のナバス・レマーユが、ミサを執り行っている。長老、セペル・チェルダードも参加している。まるで孫の顔でも眺めるように目を細めてうなずいていた。  姉のナバス・リームは、ライト・ムーヴァーの格納庫で、ムーヴァーのメンテナンスと、自分のエナメル製の赤い甲冑を、ひとりワックスで磨いていた。メンテナンスが終わると、動力だけを入れて、静的な試運転を行い、各部機能に問題がなかったので、エンジンを切り、そのままドアを閉めた。鉄の階段の上の方で、ふーっと溜息をついていたところ。  大男のイプス・カイザルは、意外にも手先が器用と見えて、日曜大工の道具を取り出して、滑空式航空母艦、ピッツリー7570の船体に、ちまちまとバリアー装置を据え付ける配線作業に追われていた。間も無く、全部の配線がつながる予定だ。  一方、ナバス・クルクとチャタ・ファーナは、現在仕事中のメンバーのためにパンを焼いたり、夕食のシチューや肉野菜炒めなどを作っているところ。おい、クルク、お前ヒーローだろう(苦笑)家庭的だなあ……。  そして船長、ジョマ・グリシアは、索敵装置のテストや、レーダーの調整に当たったかと思うと、今まで着ていた背広のまま外に出て、空港スタッフと一緒に給油の様子を見ていた。給油が終わると、燃料代や駐機料金などを、キャッシュで空港職員へと手渡した。
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