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狂愛烈花
なんと華やかに烈しい死に様であったかと、長岡忠興の胸は焦がれんばかりに熱く震える。二十歳の忠興は、二人の先達が命を散らして半年が経った今もなお、彼らの幕引きに思いを馳せては、ひたむきな憧憬を募らせる。いつか死すとき、俺も斯くありたい。
天正十年(一五八二年)六月二日、洛中は本能寺にて織田信長が死んだ。腹心の家臣、明智光秀に討たれてのことである。
その明智光秀もまた、信長に遅れること十三日、山城国大山崎にて羽柴秀吉の軍に敗れ、近江国坂本へ落ち延びるさなか、山城国小栗栖の山中で土民に討たれて死んだ。
日本中、天地が覆ろうかという大騒ぎである。信長は強大だった。天下を手中に収めるのも時間の問題だった。ところが、その巨星が不意を打たれて堕ちた。信長死すの報が広まるや、慟哭と悲嘆、打算と策略が天下にあふれ返った。
巨星を明け方の薄闇に葬ったのが明智日向守光秀であったという事実にまた、誰もが衝撃を受けた。
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