セカンド・パートナー

６

「まぁ。色々言われましたけど、何とか収まりました」
「そうですか」
　視線が合わさると一瞬、ニ人きりのような感覚に陥る。でもそんなのは妄想だと告げるようにチャイムが鳴り響いた。

「こんにちは」太くて低い声が響く。菜々子さんに連れられて現れた男性は、高杉伸哉(たかすぎのぶや)と名乗り、私の隣に座った。

　勝手ながら、想像と全く違う人物だった。
　身長は菜々子さんと同じくらいか、百七十センチはないと思われる。恰幅が良く、ジャケットのボタンは苦しそうだ。年齢は四十五歳、商社に勤め、海外出張も多く、菜々子さんとはニューヨークで知り合ったらしい。血液型はＯ型、星座は獅子座。そして既婚者で、お子さんは中三の女の子が一人。

　よく喋る人だ。乾杯の後、十分でここまでの情報を身振り手振りを交えながら発信した。そして今は、娘さんの受験話に花を咲かせていて、住岡さん夫妻も笑顔でそれを聞いている。