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専業主婦で子供もいない私は、夜出かけて食事する事くらい何てことないはずなのに。
でも。
『なるべく家にいてほしいんだ。心配だから』
結婚当初、雅史さんが私に投げかけた言葉。
懇願するような態度を目の当たりにしたら、頷くしかできなかった。特に仕事がしたいわけでもなかったし、雅史さんが望むならと。もしかしたら子供が早く欲しくて言っているのかもしれないと思ったりして。そう。『家にいてほしい』という言葉は『専業主婦になってほしい』という意味に捉えていたのに。
でも実際は『あまり外出しないでほしい』という意味だったようで、私が昼間出かけていた事を話すと、怪訝な顔でどこで何をしたのか、何を買ったのかを聞いてきた。
『ショッピングモールに行って、お茶して帰って来ただけだよ』と言うと『ふーん』と半信半疑な返事。そして出掛ける度に詳細を聞かれるので、心配というのはお金の事なのかもしれないと、そのうち思うようになった。浪費してるんじゃないかと。
でもその心配は無用だと思う。
私に渡されるお金は月五千円で、残りは全部雅史さんが管理しているからだ。そして彼の月収の額は未だ知らされないまま。
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