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思考が飛ぶ。待って。菜々子さんは私と住岡さんを付き合わせようとしてるの?
「そんな事、急に言われても。住岡さんが本当にそんな事言ってたんですか?」
「今朝、あなたが起きる前にそう教えてくれたわ」
菜々子さんの顔からは笑みが消えて神妙な顔つきになっている。
「本人の口から聞くまで信じられません」
「本人から言われたい?好きだって」
やめて。混乱する。呼吸が荒くなる。
「そういう事じゃないです!」
思わず口調が強くなる。
「ごめんなさい。勝手よね。今朝初めて会ったばかりでこんな話。あなたがうちにいる間に言っておきたくて。でも、考えてみてくれないかしら。ここにはいたいだけいてもらって構わないから」
「いえ、そんな長居するわけには」
慌てて口にするも、菜々子さんは意に介さない。
「私ももう少しで出なきゃならないの。昼食は冷蔵庫にあるもの食べてもらって構わないわ。夜は健太郎と一緒に食べて。私は遅いから」
そう言い残してリビングを去っていった。
――疲れた。一気に脱力感に襲われる。菜々子さんの話をどう受け取っていいのかわからない。でも、冗談を言っているわけではない事はわかった。
ふと昨日必死で打ち込んだメールを見返してみる。
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