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「……え?」
住岡さんの表情は真剣だ。
「優花さんが僕に頼んだのと同じ事です。菜々子にあなたの事を、セカンドパートナーとして認識してもらいたいと思っています」
「どういう事ですか? 菜々子さんとはうまくいってるんですよね?」
「はい。ですから、今後も菜々子と過ごすために、彼女の心を軽くしてあげたいんです」
「よくわかりません」
「菜々子に僕以外のパートナーがいる事はご存知ですよね。彼女はその事が心苦しいみたいで、僕にもパートナーがいれば、彼女の苦しみも軽減するんじゃないかと思うんです。だから、優花さんにはその役を。報酬は毎月お支払いします」
「でも、私じゃなくても……」
「ここまで事情を知っている優花さんに是非お願いしたいんです」
事情。夫婦の、身体の――。
確かに、他に探すとしたら、住岡さんは再度自身の事を話さなくてはならない。それを思うと胸が傷んだ。第一、私自身住岡さんに協力してもらったわけだし、断るのもどうかと思った。
「……私でよければ」
慎重にそう答えた。
「ありがとうございます」
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