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 一気に安堵の表情を見せた住岡さんは、再び箸を手に取った。私も同じように箸を取り、不自然に思われないよう気をつけながら口角を上げて見せる。  報酬という言葉が引っ掛かる。そこまでして……。  今朝、私に好意を寄せていると菜々子さんに伝えたのはこのためについた、嘘――?  胸の奥がざわついた。確かめたいけど、できない。そもそも確かめる必要性もない。  住岡さんが愛しているのは菜々子さん。愛する妻のために、私とセカンドパートナーのフリをする……。  割り切ろう。人助けだ。報酬は必要ないと思ったけれど、現実、私にはお金がない。そしてまずは自分の離婚の事も考えなくてはいけない。  マンションに戻ると、菜々子さんが帰宅していた。  住岡さんが私の事を改めて「セカンドパートナー」として紹介する。  すると、泣きそうな表情で菜々子さんは私を抱きしめた。  甘い香水の香りにむせそうになりながら、そっと背中に手を回した。
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