745人が本棚に入れています
本棚に追加
「うん。まず、そんなひどい旦那さんと揉めずに離婚できて良かったってのと、すぐに帰れる実家があって良かったって事、仕事だってしてたら面倒だよ? もちろん子供がいたら生活の不安は今の何倍もあっただろうし。そういう人周りにいるからさ、何となくわかるつもり」
そう言われたら妙に納得してしまう。
「考え方次第って事……?」
「そうだよ。第二の人生スタートするチャンス」
「第二の人生」
「うん。それに健太郎君がいるじゃん」
ドキッとした。脳裏にあの柔らかな笑みを携えた姿が現れた。でも、待って、違う。
「住岡さんとはそんなんじゃない。表面上だけの付き合いなんだから。お金貰ってるんだし」
「まぁそうだけど……一人でいるよりは気は紛れるんじゃない?」
「……わからない」
今後、私の中で住岡さんの存在がどのように変化していくのか、わからないという意味だった。
「確認したいんだけどさ、優花は健太郎君の事好き?」
直球の質問に一瞬動揺する。
「いい人だと思うけど、それだけ」
「恋愛感情はないのね?」
朋美は念を押すように確かめる。
「うん」
「そっか。ならいいけど。ちょっと心配で聞いただけ。あれだけの愛妻家なら、優花に気持ちが向く事はないと思う……だから本気で好きになったら、お金を貰って割りきって付き合う事が、辛くなるんじゃないかと思ったんだよね」
「大丈夫だよ」
最初のコメントを投稿しよう!