745人が本棚に入れています
本棚に追加
今日は住岡さん夫妻と私、そしてもう一人、菜々子さんのパートナーを交え、四人で食事をする事になっている。何のためかはわからない。住岡さんも趣旨は聞かされていないようで、とにかく大事な話があるから集まってほしいと菜々子さんが望んでいるらしく、こうして住岡家までやってきた。
あまり深く考えないようにしよう。そう思いながら、チャイムを鳴らした。
出迎えたのは住岡さんだった。
「お呼び立てしてすみません」
「いえ」
仕事だと思って割り切らないと。私は今日「住岡健太郎のセカンドパートナー」としての役目を果たすのだ。
ダイニングに足を運ぶと、テーブルに菜々子さんの手料理がきらびやかに並んでいる。
「あぁ優花さん、今日は来てくれてどうもありがとう。もうすぐ伸哉も来るから、どうぞ座って待ってて」
伸哉。初めて聞く名前に一瞬緊張が走った。
菜々子さんは変わらぬ様子で準備を進めている。
「はい」
遠慮なく椅子に腰掛けた。
それにしても、名前を聞いただけで動揺してたらこの先が思いやられる……。
「菜々子、あと何かやることある?」
「大丈夫よ。優花さんのお相手してて」
そう言って私に微笑みかけた。
「そう? じゃあ、そうさせてもらうよ」
住岡さんが向かいの席に座り、指を組む。
私は何を話せばいいのかわからず、無言で壁に目を向けてしまった。
「どうですか?離婚後の生活は」
「あ……、順調です。ほんと、色々すみませんでした」
「ご両親も納得されました?」
最初のコメントを投稿しよう!