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 六時起床。朝食は食べるか食べないかわからないけど準備して、七時頃、雅史(まさし)さんを起こす。 「起きて。時間だよ?今日は朝ごはんどうする?」 「……いらない。もう少し寝る」 「わかった。じゃあ三十分後にもう一回起こすね」  そう言い残し、機嫌を損ねないよう静かに寝室を出ると、テレビを付け一人で朝食を食べ始める。  そして結局、雅史さんが起きたのは出掛ける十五分前で「もっと無理やり起こしてくれればよかったのに」と言いながら、朝食には目もくれず、慌ただしく出ていった。  掃除や洗濯などの家事をやって昼になると、雅史さんが食べなかった分の朝食に手を付ける。ふいに『ごめんな。俺が食べないと、優花(ゆうか)が昼同じもの食べる事になっちゃうんだよな』と言われた事を思い出す。別に気にすることはないのに。そのぶん、昼食の準備をせずに済んで楽なんだから。
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