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とある片田舎の村、一人の若き剣士が冒険の旅を夢見ていた。
その名は剣士ファイオ、剣士である父と普通の村人の母と三人で暮らしている。
齢は17歳、剣の腕はそれなりに立つのだが‥。ともあれ。
「村の人から頼まれました、ゴブリン退治に行ってきます!!」
「気を付けてね」「しっかりやれよ」
とある昼下がりの事、件の依頼をこなしに出かけるファイオを見送る母と父、その言葉である。二人とも、心配している様子はそんなには無いようであるが。
「任せてくださいよー、あは」
どこかおかしな返答をするファイオ、どうやら地の性格であるらしかったが。
‥しばらくして。
「ここがゴブリンの巣だな‥出てこいゴブリンども、この剣士ファイオが相手だ」
剣を抜き放ち威勢よく声を張り上げるファイオ、村から離れたちょっとした洞窟に彼の声が響く。ややあって。
「ガガガ」「ギギギ」「ガァ」「ギギ‥」
洞窟の奥から10余りのゴブリンがぞろぞろと現れてきた、各々短剣などで武装している。
「かっ数が多い‥どうしよう」
焦るファイオ、2,3匹ならともかく、10ともなるとさすがにさばききれる数ではない。
「「「ガアアアアアアアア!!!」」」
そうこうしている間に、一気呵成に襲いかかってくるゴブリンども。
「ひえええええ‥やるしかないのか!!」
尻込みしつつもこれを迎え撃つファイオ、当然‥たちまちのうちに劣勢を強いられる。
「ぐぬぬぬぬ、少しは懲らしめないと依頼に失敗してしまう」
焦るファイオだったが、後頭部に強烈な一撃をもらって、ばたりとのびてしまった。
「カカカ」「キキキ」
口々に嘲笑いながら洞窟の奥へと去っていくゴブリンたち、しばらくして。
「うーむ、もっと下調べをしてからのりもべきだったなあ」
間の抜けたことを言いながら、意識を取り戻すファイオ‥村への帰還を開始した。
それから。
「マシューさん、かくかくしかじかで‥あんまり討伐を果たせませんでした」
「いやいや、構わないよ‥それよりこれは気持ちだ、体をいたわってくれよな」
依頼主と思しき村人とのやりとり、依頼主‥マシューは金貨1枚と青銅貨1枚余りをファイオに手渡す、討伐の成果の割には高額な報酬であった。
「すみません、次はもっと頑張ります」
申し訳なさそうなファイオににこやかに応えつつ、マシューは去っていった。
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