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「……そもそも離婚届なんて、なんで、千景君が持ってるの?」  もう、自棄だ。こうなったら全てをぶちまけてしまいたかった。 「今朝、取りに行ってきた」 「は? こんな格好で!?」 「悪い? だいたい、雪が離婚したいなんて言うから! 俺は雪を泣かすようなこと何かした?  言ってくれなきゃわからない」  そっと触れた手は、頬から流れる涙を拭う。  その手を払いのけ、私は食い下がった。 「だって、毎週毎週、香水とお酒の匂いぷんぷんさせてさ! 言い訳だって、嘘ついてるの丸わかりよ!  嘘つくと、眉毛が上がるんだから!」 「え!?」  彼は言われて気づいたのか、恥ずかしそうに慌てて、左眉を隠し、右手で私の手首をつかむと、自分の顔が見えないように、自分の胸に抱き締めた。 「本当にバカ雪!  嘘だから仕方がないだろ」 「はあー? なに、その開き直り!」  じたばた暴れる私の腕を更に拘束するかのように力がこもる。 「ちょっと大人しくしてくれない?  だいたいさ、そこまで気づいてて、なんで解らないかな……だからさ……その……嘘なんだよ!」 「だから、嘘なんでしょ? 何回も言わなくたってわかってる!!」 「あーもう、面倒くさい!!」  そう言うと私の肩を乱暴に離し、寝室へと消えてた。  
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