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朝起きると、リビングの机に離婚届が広げられていた。私は大分前から気づいていたから、ああ……やっと来たかと内心、ほっとしていた。
ずっと確信を得るか、得ないかの瀬戸際。
結婚記念日でも、誕生日でもないのに、本棚には百貨店の包装紙に包まれたプレゼントが隠されていた。アイツは辞める従業員への送別品と言ったが。
残業と言い訳して、午前様で帰って来たアイツのスーツから香る見知らぬ香水。クラブで飲んだと言ったが。
全て嘘だ。
嘘をつくとき、アイツは必ず左眉が上がるから、知りたくなくても判ってしまう。
生殺しにするなら、一層、一思いに刺し殺して欲しかった。そうしたら、慰謝料なり過大請求してやるのに。
ほっとしたのも束の間、内から込み上げる衝動に突き動かされ、涙が溢れた。悔しさと、悲しさと、怒りと惨めさと……その暗い感情は涙の雨となり、離婚届をシトシトと濡らした。
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