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 付き合い始めると、彼女にとっては楽なものだった。  彼から遊びに誘われれば、暇なら付き合い面倒なら断る。逆に自分が退屈な時は無理やり連れ回し、イライラすれば我慢することなく彼にぶつける。  彼は怒ることも反論することもなく、彼女のそばにいた。  ちょうど都合のいい人形が出来た気分だった。  それがおかしくて、どこか間抜けで、犬のようにくっついてくる彼を小馬鹿にしていた。  それでも、彼はただただ彼女に笑顔を与え続けた。  横目で冷たい視線を向けていた彼女だったが、やがで違和感を感じ始めた。  何かが不安を与えてきて、癪に触り、神経を逆撫でし、説明出来ない淀みは怒りとなって、理不尽に彼にぶつける。  そしてまた、淀みは色を濃くなった。
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