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 そしてある日、彼女は体調を崩す。  高熱にうなされ学校を休み、鈍い感覚のまま数日が経過した。  彼からはSNSを通じたメッセージが一度だけ送られたが、無視するとそれ以降来ることはなかった。  体調も回復し、明日には学校に行けるだろう。  するとその日の夜、母親が一冊の真新しいノートを渡してきた。 「これ、なに?」  母親は家事をしながら答える。 「クラスの男の子が今日持ってきたのよ。心配してたわよ?」  彼女はすぐに分かった。彼だと。  部屋に戻り、ノートの中を見てみる。  そこには、彼女が休んでいる間にあった授業内容が、事細かに、そして分かりやすく書いてあった。 「……あいつ、暇人過ぎ……」  そう呟きながらページを捲ると、最後のページに、授業内容とは違う言葉が記されていた。
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