episode231 依存の正体

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瞬時に部屋の空気が凍てつく。 「こんな事する為に和樹を君に貸し出したんじゃないんだけどな」 顔を上げるとベッドルームの扉を背にして ほとほと途方に暮れた顔で九条さんが立ち尽くしていた。 「貸し出したって?笑わせるなよ」 僕のシャツの裾から差し込んだ手を 見せつけるようにゆっくり引き抜きながら征司は憎々しげに呟く。 「まあ、笑ってる場合じゃないだろうな」 普段はソフトな紳士も 今日は一歩も引かなかった。 部屋のドアをしめ切ってしまうと 僕らが絡むベッドの傍まで歩み寄り膝をつく。 「君も――ミイラ取りがミイラになってどうするの?」 まだ征司の腕に抱かれたままの形で 同じ目線で――彼の澄んだ瞳に見つめられると 緊張と動揺で息が詰まった。
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