113人が本棚に入れています
本棚に追加
「もう結構。たくさんだ」
九条さんは優秀な英語教師みたいに
両手を上げてストップの合図をかける。
「今夜、依存症患者の為の集団セラピーを予約した」
「集団セラピーだって?」
「そう。それに行くんだ」
「俺が?」
「ああ。君が」
まさに寝耳に水という顔つきで
「ふざけるな!焦点の合わない依存症患者の中に混ざって『ハーイ、僕はアルコール依存症です』なんてやるわけか?この俺が?」
プライドの高い王様はもちろん提案をつっぱねる。
だけど――。
「いや、行くんだ。でなきゃ君が薄井千尋にした事、僕は警察に通報する」
普段は柔和なお義兄様も
今回ばかりは引かなかった。
最初のコメントを投稿しよう!