episode231 依存の正体

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世の中には実に様々な依存症があるものだ。 集まった依存症患者は僕らを含めて6人。 「皆さん、こんばんは。緊張しないでリラックスして下さい」 心理療法士を名乗る キレモノを絵に描いたような女史を真ん中に円を描いて座った。 時計回りに 「僕はネット依存です。一日中見てないと落ち着かなくて」 「私は買い物依存症なんです。それで……借金を」 「初めまして。睡眠薬依存症の24歳です。毎日病院の処方の倍量を飲んでしまいます」 「僕は重度のカフェイン依存で二度救急車で運ばれました」 だそうだ。 征司はこの時点で苛立ち 尖った靴先で貧乏ゆすりを始めていた。 「それで、あなた――」 それで眼光鋭い女史の目は 今すぐにでも席を立ちそうな兄を通り越し 「僕、ですか?」 他でもない『お兄様依存症』の僕に向けられたわけだ。
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