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世の中には実に様々な依存症があるものだ。
集まった依存症患者は僕らを含めて6人。
「皆さん、こんばんは。緊張しないでリラックスして下さい」
心理療法士を名乗る
キレモノを絵に描いたような女史を真ん中に円を描いて座った。
時計回りに
「僕はネット依存です。一日中見てないと落ち着かなくて」
「私は買い物依存症なんです。それで……借金を」
「初めまして。睡眠薬依存症の24歳です。毎日病院の処方の倍量を飲んでしまいます」
「僕は重度のカフェイン依存で二度救急車で運ばれました」
だそうだ。
征司はこの時点で苛立ち
尖った靴先で貧乏ゆすりを始めていた。
「それで、あなた――」
それで眼光鋭い女史の目は
今すぐにでも席を立ちそうな兄を通り越し
「僕、ですか?」
他でもない『お兄様依存症』の僕に向けられたわけだ。
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