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「そう、あなた。教えてくれる?『お兄様依存症』とは具体的にどんなものなのかしら?俗にいうブラザーコンプレックスのようなもの?それとも――私も聞くのが初めてなの。だから詳しく説明してくれると嬉しいんだけど」
説明する――だって?
「ええと……それはですね……」
困った。
会場の片隅に優雅に腰を下ろして
グラスの水を口に運んでいた九条さんが
言葉に詰まった僕の代わりに派手に水を吹き出す。
「言いにくければそうね、隣に座っているあなた――アルコール依存症のお兄様の方から説明してもらっても構わないわ」
だんまりの僕を一旦脇に置いておいて。
あろうことか療法士の女史は
「弟さんはあなたに依存していると言うけれど、具体的にはどんな風に?」
隣でぼんやり指を回していた当のお兄様の方に
質問の矛先を向けた。
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