episode231 依存の正体

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さて、いよいよ困った。 出席者たちもみな 興味深そうに聞き耳を立てている。 こんなところで 何より九条さんの前で――。 僕の『お兄様依存症』がどんなものなのか 説明しろと何も知らない彼女は言うわけだ。 「まずはじめに――」 征司が愛想なく視線だけ上げて低い声で呟く。 僕の喉がゴクリと鳴った。 だけどそれだけだった。 「答えたくありません。非常に個人的な問題なので」 征司は静かに首を横に振ると言った。 出会ってから初めて この人が分別ある常識人に見えた瞬間だった。 「なるほど――そうね」 しかし女史はふんふんと頷いたものの 征司のカルテに目を通すと 「それじゃあ違う聞き方をするわね」 ――食い下がった。
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