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もう一度九条さんはグラスの水を吹き
静まり返った会場内には
「あはははは!」
女史のわざとらしい空笑いだけが響いた。
「天宮さん」
「はい」
ナンセンス――タクトのように指を振る
彼女の顔にそう書いてある。
「あなたの問題は自己認識が足りないことのようね」
「自己認識?」
「そう」
「アルコール中毒だと自分で認識していないだけだと?」
征司は微動だにせず女史に向き合った。
「ええ。でもそれだけじゃなさそう」
いつの間にか
女史の顔からは魔法のように笑顔が消えていた。
「と言うと?」
王様は自分の心を庇うように
体勢を前に傾いで話の先を促した。
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