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世の中には物事の本質を見抜く仕事をしている人がいる。
またはそれを誰かに伝える仕事を。
「はっきり言いますよ、お兄様」
特段気づいていない本人に。
またはその家族に――。
「弟さんがあなたに依存していると言うけれど、私はそうは思わない」
「え……?」
驚いたのは張本人の僕だ。
「彼は気づいてないようだけどあなたが繋ぎ止めてる。無意識の刷り込み――あらゆる手を使って」
それこそが自己認識の足りなさだと
彼女は暗に指摘する。
「あなたの方が狭い世界にいるの。弟さんの方は――本当はもうとっくにその世界を飛び出す準備が出来ている。あなたとは別の他者との間に本物の信頼関係を持ち始めているから。違う?」
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