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「――手遅れです」
「征司くん、待って……!」
慌てて制止する義兄の腕を振り切って
征司は部屋を出て行った。
アルコール依存症で
僕依存症のお兄様――。
僕?
僕はもちろん後を追おうとしたさ。
後追いは僕の得意分野だし。
今回に限っては――あの人が助けを必要としている。
そんな気がしたから。
だけど
「今行ってはダメ」
「でも……」
「彼がもっとダメになってしまうわよ」
現実を告げる冷静な心理女史の言葉で
なんとかその場に踏みとどまっていた。
(どうすれば……?)
で――。
普段使わない頭を
必死に働かせるとどうなるかって?
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