episode231 依存の正体

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「ハァ……ハァッ……」 息が苦しい。 「和樹っ……!」 僕はか弱き乙女のように 貧血と過呼吸を起こしてその場に座り込んでしまった。 「ごめん。こんな風になるとは思ってなくて」 九条さんが駆け寄ってくるや 僕を腕に抱き申し訳なさそうに告げる。 「いい……んだよ……僕は……大丈夫……」 いつもの如く 彼は何も間違っちゃいないんだ。 依存症患者にセラピーをすすめて。 運転手役まで買って出てくれて。 「今日は連れて帰ります」 「ええ、その方がいいわね」 九条さんが僕を抱き上げ女史に頭を下げる。 「苦しい?」 「そうでもないよ……」 正直そんなに 身体の具合が悪いわけじゃなさそうだ。 だとしたらこの胸の苦しさは ――共鳴。 征司の苦しみに呼応しているんだと 九条さんの腕に抱かれながら僕は思った。
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