第3章 ミクスVSヒロマル

1/3
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ

第3章 ミクスVSヒロマル

「ミクスこと菅田美紅(すだ みく)」がファイブゴッドナックルズに傾倒して行ったのには、失恋が因となっていた… 近所で幼馴染みの野球少年…「森里充(もりさと みつる)」とは親同士も認める程、小さい頃から仲が良く、小学生の頃は充の野球の試合に応援しに行った。 中学生になると自然に付き合うようになり、充も美紅は互いに忙しくも充実した生活を送っていた… だが、中学卒業を前にして充は野球での実績が認められ、他県への高校へと進学することとなり、美紅との関係は否応にも終わりを迎えた… 「絶対に戻って来るよ!」 充は美紅の想いと自分の気持ちを重ね合わせるような、決意を込めて言った言葉は美紅の耳には「さよなら」の言葉に聴こえていた。 「うん!待ってるよ!!」 美紅は元気な笑顔で気持ちを伝えたが、その言葉は空しくよく晴れた広い校庭のグラウンドに響くこと無く消えて行った… それから、充と顔を合わせる事はあったが、2人の距離は縮まる事は無く時間だけが過ぎて行き、2度と声を聞くことは無くなっていった。 高校生になった美紅は何をしていても身が入らず、無気力な日々をただただ、過ごしていた。 そんな時に、たまたま友人と立ち寄ったゲームセンターで遊んだ格闘ゲームが、美紅の沈んだ心を浮かび上がらせた… 意味の無い架空の世界での闘いに思えたが、美紅にとってはそんな虚実の世界が渇いた心に染み渡り、いつの間にか現実味を帯びて闘いの世界に傾倒して行った。 美紅が「ファイブゴッドナックルズ」と出会い…「安名心(あんな しん)」と言うキャラクターの人生を知った時から、 美紅は自分とキャラクターの心とを重ね合わせる意味を込めて「ミクス(MIX)」と名乗るようになった… 安名心は裕福な家に生まれた…両親は共に実業家で妻は夫を支え、夫も妻を支える理想的な夫婦であった。 ある日、両親と共に3人で静かに外食で心の10歳の誕生日を祝って貰った…忙しい中、両親は心の誕生日を思い出を語りながら、それは嬉しそうに心を優しく見つめながら2人は心に触れていた… そしてその帰り道、珍しく歩いて帰ろうとの両親の提案で3人は楽しそうに心を間に挟んで、星空が暖かく輝く夜道を並んで歩いていた。 静かに目の前に現れた男は笑っていた…不思議そうに見つめる心にウィンクすると、困惑する両親に金銭を要求した。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!