退屈な学生生活にオカルト

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退屈な学生生活にオカルト

「知ってる? 呪いのラブレター。もらったら死んじゃうんだって」 「へぇ、どんな手紙なの?」 「それがさ、それがさ。――」  高校生活も、一年の終わりに差し掛かれば、目新しいものはなくなって、退屈さを帯び始める。女子生徒は、退屈まぎれに、くだらないオカルトで花を咲かせている。  よくある噂話だなと、新堂明人(しんどう あきと)は聞き流していた。木の粉を噴く机に、頬杖をつきながら。  他の男子生徒はというと、流行のオンラインカードゲームのデッキの話をしている。興味がないと、新堂はあくびで訴えた。  やがて、起伏のない休憩は終わり、教壇を打つ足音が、静寂を呼び寄せる。 「それでは、教科書の七十二ページを開いてください」  先生は、眉間に皺を寄せて、かつ――かつかつ、とチョークを黒板の上で踊らせる。  現代文の授業。その前は、数学だった。横書きから縦書きへ。文字を読む方向が変わるのに目を慣らすよう、紙面をなぞる。
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