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仮死状態になったついでに幽霊体験のある三友早百合だった。
早百合は怪訝そうな顔をしている。
女の子の幽霊は見えないはずなのだが、オレの右手の先に注目していた。
「…いるんだよね?」
「ああ、いるぞ。
眼が飛び出していて手がもげて…」
オレが言うと早百合はオレを睨みつけて目をそむけた。
存在はわかるが、はっきりとは見えないといったところのようだ。
「凄くね、たくさんいたんだけど、
ひとつだけ残ってあとは消えちゃったの」
「三塁ベースのところだろ?」
早百合は無言で頷いた。
「お兄ちゃんが何か言ったら、端っこの方に行ったの」
「大正解。
やはり幽体になった経験が幽霊を見せてしまうようだね」
早百合はなぜか喜んでいた。
「どうして嬉しそうなんだ?」
「見えるから?」
多くを語らなくても早百合の気持ちがオレにはわかるような気がした。
早百合はさらに笑みを浮かべて、オレの左手を取った。
「あら?
両手とも塞がっちゃったのね。
ざぁーんねぇーん…」
麗子が言うと皐月が怪訝そうな顔を見せた。
「右手、開いてるじゃない…」
と皐月が言ってオレの右手を取ろうとした。
「そこにはね、
眼が飛び出していて手がもげて…」
麗子が言うと、皐月は、「ギヤャァ―――ッ!!」と叫び声を上げて、
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