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その自殺した女優が整形前の顔でオレの目の前にいる。
「仏の身でありながら、あなたには憎悪しか浮かんで来ません。
何かいい訳があるのでしたら聞きますよ」
オレは投げやりに言った。
「いい訳なんてないわ!
逃げてきてやっただけよっ!」
「そうですか。
オレ、あなたが素直に全てを語ってくれたらやんわりと
成仏してもらおうと思ったんですけど、
もう戻れない場所に行きますか?」
「…もう、戻れない?
輪廻転生はウソなの?!」
慶子は大声で笑い始めた。
「まともな魂なら真、そうでない魂は否です」
「面白いそうだからそこに送ってよ!
きっと痛いことたくさんされるんでしょ?」
「それは地獄界。
そこに比べれば地獄界なんて天国ですよ。
あなたがこれから行くのは無界。
なにもない世界です。
ただただ漂っているだけ。
かなり退屈だと思います。
そして狂って無に溶け込みます。
ですが、誰もあなたに誹謗中傷することはないでしょうね」
慶子は挑戦的な笑みを見せたので、オレは慶子を調伏した。
そしてオレの罪を必死に詫びた。
だがオレに罰が下された。
週一回の昇天の儀が週三回になって、一回当り三つの魂を送ることに決まった。
こうなると、性欲により昇天させるしか方法が浮かばなくなったのだ。
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